パーキンソン病は、手足の震えや動作の緩慢といった運動機能に障害が生じる神経変性疾患です。
しかし実は、それらの症状が現れるよりずっと前に、患者が発する「匂い」に変化が起きていることがわかっています。
ただその匂いは極めて微妙な変化でしかなく、普通の人では絶対に気付きません。
ところが、この匂いを嗅ぎ分け、医師たちが気づくよりも早くパーキンソン病を察知できる女性がいるのです。
それがスコットランド在住の看護師、ジョイ・ミルン(Joy Milne)さんです。
その驚くべき嗅覚能力に、世界中の医師たちが注目しています。
目次
- パーキンソン病と診断される17年前に気づいていた
- パーキンソン病の「匂いの正体」を突き止める
パーキンソン病と診断される17年前に気づいていた
ジョイ・ミルンさん(75歳)は、スコットランド出身の元看護師です。
彼女は生まれつき「嗅覚過敏症(ハイパーオスミア)」という、匂いに対する感度が極めて高い体質を持っていました。
そんなある日、ジョイさんは夫レスさんの体臭がじゃこうのような苦くて渋いワックス臭に変わったことに気づきます。
それから夫に特に変わった様子は見られなかったものの、次第に運動機能に異変が現れ始め、医師により正式にパーキンソン病と診断されたのです。
しかし、レスさんに診断が下されたのは、ジョイさんが匂いの変化に気づいてから実に17年も経った後のことでした。

ジョイさんは「当時は夫の匂いの変化の意味がわからなかったものの、後にパーキンソン病と診断されたとき、すべての謎が解けたのです」と話しています。
さらに彼女は、パーキンソン病患者たちが集う支援グループの場でも、同じ独特な匂いを再び嗅ぎ取っていました。