トランプ氏のことですからFRBによる為替調整機能は補助的手段だとみているでしょう。ではどうやって基軸通貨の価値を調整するかです。一番想像しやすいのは国債を利用する方法が思いつきます。例えばですが、アメリカが永久国債を発行すれば市場はどう反応するでしょうか?仮想通貨を使う手も無きにしも非ずですが、これはあまりにも市場の認知度が低く危険を伴うので現実的ではないかもしれません。

それらは私の想像力を超えるので手段については議論を差し控えますが、私が気になるのはアメリカは基軸通貨を調整するべきか、という本質論であります。アメリカがアメリカたる理由の一つは基軸通貨ドルを国内通貨のみならず、世界の「基準通貨」として流通させていることに価値があるのです。もしもドルが基軸としての機能を持たなくなればドルは暴落し、今の半分ぐらいの価値になるかもしれません。(プラザ合意でドルの価値がどれぐらい下がったかは基準点をどこに取るかで変わってきますが、一般には半分になったとされます。)

トランプ氏は上述の目的を達成するためにドル安としたい、しかし、FRBはその目的論からトランプ氏の意志に頷けるものではありません。ならば政府が政策として無理な方策で動かそうとするかもしれません。これは現在の世界経済に大津波を引き起こすようなもので個人的にはすべきではないと考えています。

一方、ドル信認が今までの通りなされるか、といえばそれもやや疑問視される状況にあるとみています。理由は何故ドルでなければならないかという説明ができないからです。70年代80年代ならわかります。ですが、今やデジタル通貨を議論する時代で実物的な担保価値が薄い仮想通貨に一定の価値を見出す時代になったのです。ドルはアメリカの政府通貨としての担保価値があります。金は物的な価値があります。ですが、仮想通貨はほぼ何もないのに価値を創造しており、投資家がそれを認める社会が形成されつつあるということは基準通貨がドルである必要はないという議論はできるでしょう。