私たちが他の人の匂いを嗅ぐとき、生来の「体臭だけ」を嗅ぐことはほとんどありません。
大抵、生活上の習慣や選択によって形成される自然な香りのミックスです。
研究では、その日常的な匂いが付着したTシャツが用意され、その匂いに基づいて「相手の印象」を評価しました。
そしてその匂いの評価を、「0.1秒間だけ顔写真を見た時の評価」と比較しました。
また匂いの評価後、4分間の実際の対面交流を実施。
その後に再度同じ匂い評価を実施してその変化を調べました。
人は匂いで「この人と友達になれるかも」と感じている
研究の結果、匂いの好みは個人差が大きいことが分かりました。
誰からも好かれる「万人向けの匂い」というものは存在しなかったのです。
そして、0.1秒だけ顔写真を見た時に「この人とは友達になれるかもしれない」と感じる相手には、Tシャツの匂いを嗅いだ時にも同様の印象を抱く傾向があると分かりました。
また匂いの印象は、実際の対面交流の評価とも類似していると分かりました。
つまり、Tシャツを嗅いで「友達になれそう」と判断した相手は、4分間の交流後も、同じように「友達になれそう」と評価する可能性が高かったのです。

また興味深いことに、対面交流の評価が2回目(対面交流後)の匂い判断の結果に影響を及ぼすこともあったそうです。
研究チームはその点を次のように述べています。
「匂いが人を判断する基準になるというのは理解できます。
しかし一番驚いたのは、2回目の測定での変化、つまり学びでした。
1度のやり取りで、うーん、違うかな、と思うのです。
人と直接顔を合わせるだけで、その人の体臭の感じ方が変わるというのは、本当にすごいことです」
つまり、良い交流をした相手のTシャツは、後により良い香りと感じられ、逆に良くない交流をした相手のTシャツの香りは評価が下がったのです。