まず実験を開始する前に、参加者たちを、箱の選択を自分でするグループと、自分でしないグループの2つに分け、事前にどちらの箱からビー玉を引きたいかと、ビー玉を引いた後の結果に対する興味の強さを回答してもらいました。

また最後のビー玉の結果の表示のところでは、結果の不確実性が興味与える影響を調べるために、結果が表示されるときと表示されない時がありました。

この実験では、ゲーム内でより多くのポイントを獲得できれば、実験への参加報酬金額が増えました。そのため、より多くの報酬を得るためには、箱の中の期待値(獲得できると期待できるポイントの大きさ)がより高い箱を選びビー玉を引く必要があります。

さて自分で選択するか否かによって興味の強さに違いはあったのでしょうか。

好きな方でも自分が選んでいなければ興味が弱くなる

実験の結果,自分でビー玉を引く箱を選んだ場合には、選ばなかった場合と比較して、引いたビー玉の結果に対し強い興味を抱く傾向が見られました。

自分で選んだ場合には強い興味を示す
自分で選んだ場合には強い興味を示す / Credit: Romero et al. (2023).

この実験では、顕在的な興味に焦点を当てたのに対し、後続の実験では、結果が待ち遠しいかという潜在的な興味に着目し、同様の実験デザインで検討を行っています。

実験の手続きは最初の実験と同様で、大きな違いは最後にビー玉の得点の結果が「待ち遠しい」かどうかを尋ねています。

実験の結果、選ばなかった場合と比べて、自分でビー玉を引く箱を選んだ場合には、より結果を待ち遠しいと思う傾向が確認されました。

自分で選んだ場合には結果を待ち遠しいと思う
自分で選んだ場合には結果を待ち遠しいと思う / Credit: Romero et al. (2023).

これらの結果は、最初に自分がビー玉を引きたいと思っていた箱を引いたとしても、自分が選んでいなかった場合には、興味や待ち遠しさが弱くなってしまうことを意味しています。

つまり自分で選ばず、友達の紹介やレコメンドによって視聴した映画は、たとえ内容が自分の好みと合ったとしても、興味・関心は薄くなっており、内容を楽しむことができない可能性があるのです。

自分で選択すると顕在・潜在的な興味が高まる

興味を高める手段として、自己選択させることは有効な手段となり得る
興味を高める手段として、自己選択させることは有効な手段となり得る / Credit: Unsplush