科学が示す「大洪水」の痕跡
では、これらの洪水伝説は単なる神話なのだろうか? 近年では科学的な見地からも、過去に地球規模の巨大な洪水が実際に起こった可能性が指摘されている。
タイタニック号の発見者としても知られる著名な海洋考古学者ロバート・バラード博士は、約1万2000年前の氷河時代の終わりに、巨大な氷床が溶け出し、世界中の海面を急上昇させ、壊滅的な洪水を引き起こしたと考えている。「それは我々の生きた歴史の中での洪水の話なのです」と彼は語る。
また、コロンビア大学の研究者たちが提唱した説では、かつて淡水湖だった黒海に、海面上昇によって地中海から大量の海水が流れ込み、巨大な洪水が発生したという。その水の勢いは、ナイアガラの滝の200倍にも達したと推定されており、周辺の農地や集落をすべて飲み込み、一帯の地理を永遠に変えてしまったと考えられている。

(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI),『TOCANA』より 引用)