中世エルサレム巡礼の多様性と今後の課題

 共同研究者であるオーストリア科学アカデミーのイリヤ・ベルコビッチ氏は、「これらの書き込みを総合すると、中世における巡礼者の地理的な起源に関するユニークな洞察が得られます。それは、現在主流となっている西欧中心の研究観が我々に信じさせてきたものよりも、はるかに多様性に富んでいたのです」と語る。

 一方で、セナクルが本当に「最後の晩餐」が行われたその場所であるかについては、まだ確定的な証拠はない。現在の建物の大部分は十字軍時代のものであり、イエスが生きていた1世紀のものではない可能性が高い。考古学的な発掘調査も現状では難しく、シリア正教会などが主張するように、聖マルコ修道院など別の場所が実際の場所だったとする伝承も存在する。

 とはいえ、今回解読された壁の書き込みは、セナクルが長年にわたり、多様な背景を持つ人々に聖地として深く敬われてきた紛れもない証拠と言えるだろう。この発見は、中世エルサレムの歴史と信仰のあり方に、新たな光を当てるものとなりそうだ。

 最後の晩餐の真実の場所はどこであれ、この壁は多くの巡礼者の「祈り」を聞き届けてきたのだろう。

提供元・TOCANA

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