キリスト教徒だけではなかった? イスラム教徒の痕跡も

 驚くべきことに、書き込みを残したのはキリスト教徒だけではなかった。チームはアラビア語の碑文の断片も解読。「…ya al-Ḥalabīya」と記されており、これはシリアのアレッポ出身の女性巡礼者によるものだと研究者は結論付けている。これは近代以前の女性による巡礼の貴重な物的証拠となる。

最後の晩餐の舞台に刻まれた“旅人たちの落書き” ― キリスト教聖地の知られざる歴史
(画像=画像は「Daily Mail Online」より,『TOCANA』より 引用)

 さらに、イスラム教徒によって刻まれたと思われるサソリの絵も発見された。キリスト教徒の書き込みが主に木炭などで書かれていたのに対し、イスラム教徒による碑文やサソリの絵は、壁に深く刻み込まれていたという。「これは所有権を示すための行為であり、万が一建物がキリスト教徒の手に戻ったとしても、自分たちの痕跡が消されないようにするためだったのだろう」と研究者は分析している。

最後の晩餐の舞台に刻まれた“旅人たちの落書き” ― キリスト教聖地の知られざる歴史 最後の晩餐の舞台に刻まれた“旅人たちの落書き” ― キリスト教聖地の知られざる歴史
(画像=,『TOCANA』より 引用)
最後の晩餐の舞台に刻まれた“旅人たちの落書き” ― キリスト教聖地の知られざる歴史
(画像=画像は「Daily Mail Online」より,『TOCANA』より 引用)