そして、このリング状の存在の性質を調べたところ「アリスのリング」として知られる存在であることが判明しました。
アリスのリングはいくつかの大統一理論に現れる存在であり、理論が正しければ、不思議の国への入口としか言いようのない、奇妙な性質を持つことが知られています。

その代表的な性質が、リング内部を通過した単極磁石やリングを通してみる単極磁石の極性が反転するという、説明できない現象です。
そこで研究者たちは観測された「アリスのリング」をシミュレーション空間で再現し、内部に単極磁石を通過させてみました。
すると予想通り「アリスのリング」を通過した単極磁石は別の極に変化を起こし、同時に「アリスのリング」自身が持つ極も反対のものに変化していました。
研究者の1人は「遠くから見るとアリスのリングは単なる(崩れかけの)単極磁石にしか見えませんが、リングの中心をのぞき込むと、世界が別の形をしている」と述べています。
この結果はこれまで理論上の存在と考えられてきた、物体の性質を反転させる「アリスのリング」が現実世界に存在することを示します。

研究者たちは「アリスのリング」の存在は現実の構造そのものに疑問を投げかけるものであり、理解が進めば宇宙を構成する「物質や情報」の探求に重要な役割を果たすと述べています。
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参考文献
Quantum discovery offers glimpse into other-worldly realm
https://www.aalto.fi/en/news/quantum-discovery-offers-glimpse-into-other-worldly-realm