調査の結果、「回避型」の愛着スタイルを持つ人が、もっとも自身の感情と関連性の高い歌詞を好む傾向が見つかりました。
研究者たちは、「不安型」の人ほど自分の感情と曲の歌詞との関連性を重要視すると考えていたため、これは意外な結果だったと述べています。
そのため研究では特に「回避型」の特性について着目しています。ここで改めて「回避型」とはどんな人達か確認してみましょう。
「回避型」とは、主に人間関係に対して悲観的な考えを持つ人であり、具体的には、関係が続かない、パートナーが自分を裏切る、愛されていないなどの悲観的な予測を持つことで、人間関係で傷つくことを恐れ親密になることを避ける傾向を指します。
こうした関連は個人レベルの話ではなく、社会レベルでも結びついている可能性があります。
つまり世間で流行する曲がどんな傾向の歌詞を歌っているか調べることで、社会がどのような方向に向かっているか予測できる可能性があるのです。
そこで研究チームは、1946年から2015年までのビルボードに載った828曲の歌詞を分析しました。
すると、最近の曲になるほど、歌詞の表現が「回避型」の感情を反映している傾向がより多く確認されたのです。
この結果は、現代社会では、多くの人々が独立性に重きを置き、孤立感が強まっている可能性を示唆しています。
確かに最近の世の中で流行る話題のテーマは、一人で楽しめるものにスポットが当てられ、独立心を煽る話題や、結婚や恋愛などは避けて生きる人達の話題が多いように感じます。
これは実際に曲の歌詞の傾向からも読み取れる事実のようです。
好みの曲の歌詞から自分の内的な状態がわかる

今回の研究からは、特に「回避型」の愛着スタイルを持つ人が、自分の感情と結びついた曲の歌詞を好むと示されています。
しかし、この研究は自己申告のデータであり、因果関係を推測するには限界があります。