1つ目は非弾性のゴムボールが衝突するのと似たパターンで、2つの光子は互いにくっついてしまいました。

2つ目はビリヤードボールが衝突するパターンで、ある程度の弾性を持って、お互いが逆方向に跳ね返ります。

3つ目は高反発なボール同士がぶつかった場合で、衝突した2つの光子が前よりも大きな運動エネルギーを持って反対側に飛び去って行きます。

つまり、時間反射技術を使うことで不可能だと考えられていた光子同士の衝突を実現するだけでなく、衝突のパターンも制御できたのです。

また追加の研究で、2つの電磁パルスを互いに衝突させることで、電磁パルスを新たなものに「整形」できることが判明します。

この技術を使うと、ある情報を含んだ電磁パルスに追加の信号を衝突させて、別の情報を現わす電磁パルスにするなど、応用が可能です。

現在、この電磁パルスの「整形」はラジオ波レベルでは実現しており、研究者たちは将来的にはより高周波の電磁パルスにも適用することを目指しています。

もし電磁波を衝突させる技術が当たり前になれば、通信・ワイヤレス充電・立体映像・量子演算機など幅広い分野で応用可能になるでしょう。

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参考文献

No longer ships passing in the night: these electromagnetic waves had head-on collisions
https://www.eurekalert.org/news-releases/998279

元論文

Observation of temporal reflection and broadband frequency translation at photonic time interfaces
https://www.nature.com/articles/s41567-023-01975-y

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。