量子の世界では時間も自由になるようです。
米国のニューヨーク市立大学(CUNY)で行われた研究では、時間を操作することで光子を正面衝突させることに成功しました。
質量をもたない光子(電磁波)は通常ならば衝突せずお互いに通り抜けてしまいます。
しかしこの研究では時間的界面を人工的に生成する時間反射技術が使われており、時間反射した光子を別の光子と正面衝突させて、くっつけたり反発して逆方向に弾き飛ばすことにも成功したという。
研究者たちは、ボール同士の衝突が空間的に起こる一方で、光子と光子の衝突は時間的な側面で発生すると述べています。
光と光が衝突するとき、いったい何が起こるのでしょうか?
研究内容の詳細は2023年8月14日に『Nature Physics』にて掲載されました。
目次
- 時間反射は波の時間を反転させる
- 時間反射で光子同士の衝突を実現させる
時間反射は波の時間を反転させる

よくよく考えれば「反射」は不思議な現象です。
反射とは運動する物体が壁などに当たり、持っている運動量を逆向きに変換されることで起こります。
この現象はテニスボールやサッカーボールだけでなく、質量を持たない光子(電磁波)や空気の振動である音波でも起こります。
(※私たちが一般的に認識する可視光は電磁波の一種であり、放射線もラジオ波も同じ電磁波の仲間です)
たとえば壁に向かって「あいうえお(AIUEO)」と叫ぶと、それぞれの音は向こうの壁に順番に反射し、私たちの元に同じ順に「あいうえお(AIUEO)」と帰ってきます。
やまびこや、洞窟で声が反響するなどの現象は当然全て音の反射によって起きています。
そして近年の進歩した波動科学では、さまざまな波が持つ「時間」の自由度も操作できることがわかってきました。