二国間ディールですので交渉内容は関税に限らず、何でもよいのです。アメリカにとってメリットある答えを引き出す、これしかないのです。トランプ氏はアメ車が日本で売れないことを嘆いていましたが、アメリカの自動車メーカーが日本マーケットをとっくの昔に諦めているのであって今更真剣に日本でアメ車を売るぞ、ということにはならないでしょう。私はブラフだと思っています。

為替のカードは出なかったと赤沢氏は明言していますが、これは近日中に訪米する加藤財務大臣の担当ですのでそこで話が出るのでしょう。ただし、市場は明白に円高の動きを見せていることから為替問題については交渉という点ではフォローの風が吹いていると思います。大きな話にはならないでしょう。

関税交渉全般をみていて私は徳川政権が重なりました。江戸への忠誠ならぬワシントンへの忠誠を誓い、世界各国の要人たちが交渉のためにすり寄る、そしてあたかも参勤交代で遠方の藩が財力的に疲弊して力をなくさせた故に徳川260年の歴史を作れたのと同様、各国、ワシントンですっかり生気を抜かれて帰ってくるという話であります。トランプ氏は交渉上手です。日本はその罠にはまらず、ウィンウィンになる形でまとめることができるか、この交渉、まだ序章だと思います。私は悲観も楽観もしません。極めて実務的に決まる気がします。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年4月18日の記事より転載させていただきました。