さて、今回の交渉は事前予想通り、一回では終わりませんでした。私の想定では今回は双方が交渉カードを見せ合い、次回以降、双方にとって重要なカードをいくつかテーブルに乗せ、調整を進めていくことになるとみています。
ではなぜ関税交渉の先陣が日本だったのでしょうか?この点についてはアメリカは「日本は組みしやすい」と考えたとみています。今後、40か国以上との交渉を進めていくうえでアメリカから見て重要なパートナーであり、かつしょっぱなの交渉で躓くわけにはいかないので比較的従順で礼儀正しい日本を交渉相手に選び、ここで一つのデ ファクト スタンダードを作るつもりではないかとみています。
つまり交渉がうまくいった場合は〇%まで上乗せ関税を下げるといった前例を作るわけです。
では日本は今後、どう対応するでしょうか?私の想像ではアメリカはくそ難しいカードを切ってきていると思います。駐留米軍の費用負担増額、農産物輸出、中国に対する踏み絵はあったかもしれません。特に農産物はアメリカにとって中国向けが途絶えたため、日本に振り向けたいはずです。トランプ氏は農家からは非常に強いプレッシャーを感じているはずで一定の対策が絶対に必要でしょう。私の予想としては食用のコメで手を打つ気がします。ただし、カリフォルニア米が日本に本格的に流通すると日本の農家は今後、厳しい経営になると思います。(日本人は外国のコメを口にするチャンスが限られているので諸外国米の品質を知らずに日本米が一番と言うことはあるでしょう。カリフォルニア米に限らず、中国の一部や韓国米も悪くないのです。まぁ、これが閉鎖的市場とも指摘される所以ですが。)
対中国については石破政権が近年まれに見るほど接近しているのでここは一発かましておくという程度だと思いますが、石破氏としてはやりにくいかもしれません。
防衛費はトランプ1.0の時からの課題であり、日本が防衛費予算目標をGDP比2.0%に引き上げた経緯の一つの伏線だったと記憶しています。アメリカに守ってもらうというスタンスをどうするのか、日本はいよいよ自立を迫られているともいえます。これも長期的に更に増やすという回答をするのかもしれません。