『人工知能のアーキテクトたち』Martin Ford著/株式会社オライリージャパン
博士が日本を批判するのは、これが初めてではない。2006年には、ロボットを操縦する人間を意図的に隠し、あたかも自律ロボットであるかのように印象付ける企業姿勢を
「倫理的に問題」「ロボットの能力に間違った印象を植え付ける」
『ブルックスの知能ロボット論』Rodney A. Brooks 著/株式会社オーム社
と、苦言を呈している。かなり手厳しい。だが、ブルックス博士は、頻繁に日本を訪れ、ロボットやAIの学会・企業との交流を深めた親日家でもある。その意見は、傾聴に値するのではないか。
コンセプトの日本
万博のKawasakiブースには「コルレオ」の模型が置かれ、先のプロモーションビデオが大型スクリーンで流れている。Kawasakiのウェブサイトには発案エピソードが掲載されている。
「モーターサイクル愛好家に向けた新感覚モビリティの提案として、CONCEPT01の『CORLEO(コルレオ)』が誕生しました」
ANSWERS(アンサーズ) | つぎの社会に向かうKawasakiのこたえ | 川崎重工業
まるで完成したかのような印象を受ける。だが「誕生」したのはコンセプト。作るのはこれからだ。
運用段階の米国・中国
一方、海外の4足歩行ロボットは実用段階にある。
ボストン・ダイナミクス社(米国)の4足歩行ロボット「SPOT」は、20年6月に価格を800万円として以降、原発(チェルノブイリ・福島)、農場(大分県由布市)、鉄道(東急電鉄)にまで、活躍範囲を広げつつある。福島原発では、現在も20台前後の「SPOT」が作業を行っているという。

左上(東北エンタープライズ)、右上:建設(山陽測器)左下:高知県ゆず農園(高知工科大学)、右下:鉄道(東急電鉄株式会社) 各ウェブサイトより
「SPOT」を追うのが、ユニツリーロボティクス社(中国)の「Unitreeシリーズ」だ。低価格かつ高い運動性能を持つロボットを提供している。「Unitree B1」は、防塵・防水性能の規格最高位「IP68」を取得。最大走行荷重は80kg。販売プロモーション映像には体重100kg超の男性を乗せ歩行するシーンも。関西万博の工事現場でも活用実証実験が行われている。

上:Unitree B1/下:Unitree B2 共にTechShare株式会社公式チャンネルより