アメリカ南部、ルイジアナ州。広大な敷地を持つルイジアナ州立刑務所(通称:アンゴラ刑務所)では年に二度、異様な光景が繰り広げられる。「刑務所ロデオ」と呼ばれるそのイベントでは、受刑者たちがまるで古代ローマの闘技場(コロッセオ)さながらの会場に引き出され、荒れ狂う雄牛と対峙するのだ。
「南部一ワイルドな激突」と銘打たれたこのロデオは、通常4月と10月に開催され、毎回約6000万円もの収益を上げるという。なぜ受刑者たちは、これほど危険なイベントに参加するのか。その理由は塀の外の世界との束の間のつながり、そして何よりも愛する家族と顔を合わせる貴重な機会を得るためである。
【こちらの記事も人気です】
危険と隣り合わせ、独自のロデオ競技
この刑務所ロデオは、一般的なロデオでお馴染みのブル・ライディング(雄牛乗り)、バレル・レーシング(樽回り競争)、ステア・レスリング(雄牛捕獲)といった競技に、アンゴラ刑務所ならではの危険な捻りを加えたものだ。
例えば「コンヴィクト・ポーカー(囚人ポーカー)」。これは、4人の参加者(受刑者)がテーブルを囲んで座り、そこへ猛牛が突進してくるという、まさに命がけのチキンレースだ。最後まで席に残っていた者が勝者となる。

(画像=Image by patrick gantz from Pixabay,『TOCANA』より 引用)
また、「プリズナー・ピンボール(囚人ピンボール)」では、参加者はそれぞれ地面に置かれたフラフープの中に立つ。合図とともに猛牛がアリーナに放たれ、参加者めがけて突進してくる。雄牛に吹き飛ばされたり、恐怖で円の外に逃げ出したりせず、最後まで自分のフラフープの中に立っていた者が勝ちだ。「ガッツ・アンド・グローリー(根性と栄光)」では、雄牛の頭にくくりつけられたポーカーチップを参加者たちが我先にと奪い合う。