そして研究では、この2つの受容体の比率(D1:D2)が、薬の効果に影響することが判明しました。
まず、D1受容体レベルがD2受容体レベルに比べて高い人ほど、薬を飲まない状態での記憶課題の成績が優れている傾向がありました。
しかし、それらの人は、メチルフェニデートを飲んだ時にドーパミンのレベルが上昇したにもかかわらず、注意力が改善することはありませんでした。

一方、D2受容体レベルがD1受容体レベルに比べて高い人は、薬を飲まない状態での認知能力は低かったものの、メチルフェニデートを服用することで、(偽薬と比較して)大きな改善が見られました。
これらの結果が示すのは、薬が効くかどうかは、飲んだ後のドーパミンの増加量ではなく、もともとの脳の受容体の分布バランスで決まっていたということです。
この発見は非常に重要です。
というのも、ADHDと診断された人の中には「どうして薬が効かないのか」と悩んだり、自分を責めたりする人もいるからです。
今後、ADHD患者を対象にした同様の検証が必要になります。
もしその研究でも同じ結果が得られるなら、「ADHDなのに治療薬が効かない理由」をはっきりと示すことになり、患者やその家族を安心させることができます。
効かない人にも理由がある。
そんな当たり前のことをやっと証明してくれた今回の研究は、多くの人にとって希望の光となるのではないでしょうか。
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参考文献
ADHD meds don’t work for everyone – a new study reveals why
https://newatlas.com/adhd-autism/ritalin-stimulant-adhd-medication-dopamine-receptors/
Researchers Reveal Key Brain Differences to Explain Why Ritalin Helps Improve Focus in Some More Than Others
https://www.medschool.umaryland.edu/news/2025/researchers-reveal-key-brain-differences-to-explain-why-ritalin-helps-improve-focus-in-some-more-than-others.html