空の旅は現代社会に不可欠なものだが、その歴史には悲劇的な事故も刻まれている。機械の故障、悪天候、そして時には悪意を持ったハイジャック。様々な原因によって数多くの尊い命が失われてきた。ここでは、海外で発生し、世界を震撼させた特に悲惨で記憶に残る航空機事故のいくつかを取り上げたい。これから飛行機に乗る予定のある方は、少し胸が痛むかもしれないが、これらの出来事は決して忘れてはならない教訓でもある。
もちろん、航空機事故に遭遇する確率は、統計的には非常に低い(約540万分の1とも言われる)。しかし、運命のいたずらか、以下に紹介する便に乗り合わせた人々は、その低い確率の悲劇に見舞われてしまったのである。
テロとハイジャック
■9/11 アメリカ同時多発テロ(2001年)

2001年9月11日、アメリカは未曾有のテロ攻撃に襲われた。アルカイダのテロリストに乗っ取られた旅客機が、次々と重要施設に突入したのだ。ボストン発ロサンゼルス行きユナイテッド航空175便(ボーイング767-200型機)は、乗客乗員65名を乗せたまま、ニューヨークの世界貿易センター南棟に激突。乗っていた全員と、地上にいた600人以上が犠牲となった。
さらに、同じくボストン発ロサンゼルス行きアメリカン航空11便もハイジャックされ、世界貿易センター北棟へ突入。乗客乗員92名全員と、ビル上層階にいた1000人以上が死亡した。この11便の墜落は、4つの自爆テロの中で最も多くの犠牲者を出し、人類史上最悪のテロ行為として、そして史上最悪の航空機事故として記憶されている。
■エチオピア航空961便ハイジャック墜落(1996年)

アディスアベバへ向かう予定だったエチオピア航空961便は、3人のハイジャック犯に乗っ取られた。犯人たちは爆弾を持っていると脅し(後にそれは酒瓶だったと判明)、オーストラリアへ向かうよう要求。機長は燃料不足を警告したが無視され、コックピットは混乱状態に陥った。機長は機内アナウンスで燃料切れとエンジンの停止、そして不時着水を告げ、乗客に乗客にハイジャック犯への対応を促した。最終的に飛行機はインド洋のコモロ諸島沖に墜落し、機体は衝撃で分解。乗客乗員175名のうち、ハイジャック犯3名を含む125名が死亡した。しかし、奇跡的に50名が生存。近くのビーチで日光浴をしていた人々(その多くが偶然にも学会に出席していた医療関係者だったという)が救助に駆けつけた。