「運動後に冷水浴をすると回復が早いらしい」「朝にコールドシャワーを浴びると一日がシャキッと始まる」――こうした“冷水健康法”を耳にしたことがある人は多いでしょう。
最近ではSNSでも「コールドプランジ」と呼ばれる冷水への飛び込みが注目され、あたかも万能の健康術のように語られています。
けれど実際のところ、健康な人が冷水浴を毎日続けたら、身体の中では何が起きるのでしょうか?
その疑問取り組んだのが、カナダのオタワ大学(University of Ottawa)の研究チームです。
彼らは7日間連続で冷水に浸かるという実験を行い、体内での変化を詳細に追跡しました。
その結果、細胞レベルで驚くべき変化が起きていました。
本研究の成果は、2024年11月27日付の科学誌『Advanced Biology』に掲載されました。
目次
- 冷たい水に浸かる「冷水浴」って結局どんな効果がある?
- たった7日の冷水浴で「体の細胞が変化する」と判明
冷たい水に浸かる「冷水浴」って結局どんな効果がある?
冷水浴やコールドシャワーが体にいいとされる理由には、さまざまな仮説があります。
たとえば、血流が改善して代謝が活発になる、交感神経が刺激されて集中力が高まる、炎症が抑えられて筋肉痛が軽減される、などです。
しかし、本当にそうした効果が身体の中で起きているのかについては、科学的な根拠がまだ乏しいのが現状です。
今回の研究では、オタワ大学の研究者たちが「冷水への継続的な曝露が細胞の防御機能にどのような影響を与えるのか」に注目しました。
対象となったのは、健康な23歳前後の男性10人です。
彼らは14℃の冷水に1日1時間、7日間連続で浸かるという条件のもと、実験が行われました。
研究チームは、その前後で採取した血液から、細胞内のストレス応答に関与するさまざまなタンパク質の量を測定しました。
