そこで得られた知見は、これまでただの空想と言われがちだった巨大構造物の実在を、少なくとも理論面では再評価するきっかけになるかもしれません。

ダイソン球を安定化させる新理論

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この図は、連星系を想定したシンプルなモデル内で、リング状の構造がどこに安定して留まるかを示しています。 図中には、2つの主要な天体(例えば連星)が配置され、その周囲に軽量なリングが展開される様子が描かれています。 リングがとることができる7つの平衡点が示されており、そのうちのいくつかはリングが片方の天体を包み込む配置となっている点が特徴です。 また、図中で示された「衝突集合」部分は、リングが実際に天体に接触してしまう危険な領域を表しており、平衡点の位置が安全な範囲内にあるかどうかが確認できます。 このように、図は従来の二体問題で予想された不安定性が、複数の重力源の存在によってどのように打破され、安定的な平衡状態が実現可能になるかを視覚的に理解できる非常に象徴的なものとなっています。/Credit:Colin R McInnes . Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (2025)

調査にあたってはコンピュータ上で“仮想の宇宙”を作り出してシミュレーションを行いました。

イメージとしては「二つの星がぐるぐる回っている状況」に「とても大きいけれど羽のように軽いリング(または球殻)」をそっと置いてみるわけです。

二つの星は互いの重力で引き合って回転し、リングや球殻はそこから受ける引力を頼りに「どこに落ち着こうとするのか」、あるいは「少しでも揺らすとすぐに転げ落ちてしまうのか」を見るのです。

実際にやってみると、あたかも何本もの綱引きロープの真ん中にリングや球殻を据えたような状態になることがわかります。

もし星がひとつしかないと、少し引っ張られればあとはドミノ倒しのように崩れてしまいます。