その上で、各言語において「snow(雪)」に対応する語がどれほど頻繁に現れるかを集計し、比較しました。

分析の結果、616言語中「雪」に関する語彙が最も多かったのは、カナダのエスキモー系民族のイヌイットにより広範に話される「イヌクティトゥット語」であることが判明したのです。

同じくカナダ西部やアラスカ北部の他のイヌイット語も上位にランクインしており、多雪地域では雪関連語彙が非常に発達していることが確認されました。

例えば、「kikalukpok」は「固い雪の上を音を立ててうるさく歩くこと」、「apingaut」は「初雪」、「qanittaq」は「細かい雪」など、雪の状態やタイミング、音に関する微妙な違いを表現する語が多数存在していたのです。

この結果は、長年誇張されていると見なされていた「イヌイットの雪語彙の多さ」が、実際には他の言語と比べても際立っていることを示す科学的な裏付けとなりました。

また、アラスカの他の言語(アセナ語や中央アラスカ・ユピク語)、さらには日本語やスコットランド語も「雪」に関する語彙が多いグループとして確認されています。

さらにチームは雪以外の言葉に関するランキングも調べました。

日本が最も多い言葉は?

たとえば「馬(horse)」という概念では、フランス語、ドイツ語、カザフ語、モンゴル語が上位に入りました。

モンゴル語の「аргамаг」は「優れた競走馬・乗馬用の馬」を意味し、「чөдөрлөх」は「馬をつなぐ(足かせをかける)」という意味です。

それから他にも、「愛」に関する語多いのはヒンディー語であり、日本語では「義務」や「責任」に関連する語が世界で最も多いことが明らかになりました。

これは責任感の強い日本の民族性が言葉に反映されていることを物語っています。

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Credit: canva

このように、「雪」に関してスコアが高かった言語はすべて雪の多い地域で話されていたり、「馬」に関してスコアが高かった言語は馬を日常的によく扱う地域で話されていましたが、一方で「雨」に関してスコアが高かった言語は、必ずしも世界でもっとも雨の多い地域に限定されていませんでした。