ひとりの天才高校生が天文学界を驚かせる快挙を成し遂げました。

最近、米パサデナ高校に通うマシュー・パズ(Matthew Paz)さんが、自作の人工知能(AI)モデルを使って、これまで見つかっていなかった宇宙の天体を150万個も発見したと発表されたのです。

この成果はNASAの宇宙望遠鏡が蓄積してきた膨大なデータから、変光天体(光の強度が変動する天体)を効率よく抽出するという、これまで困難とされていた挑戦を成功させたものでした。

研究の詳細は2024年11月7日付で米国天文学会誌『The Astronomical Journal』に掲載されています。

目次

  • 天才高校生が自作のAIモデルを開発
  • 未知の天体を150万個も発見

天才高校生が自作のAIモデルを開発

宇宙望遠鏡によって日々観測される天体データは、もはや人の手で処理できるレベルを超えています。

NASAが2024年8月8日まで運用していた広視野赤外線探査機「NEOWISE」は、10年以上にわたって夜空をスキャンし続け、合計で約2000億件にもおよぶ天体の観測データを蓄積してきました。

しかしこれらの膨大なデータは十分に活用されておらず、その中には、未発見の変光天体(時間とともに明るさが変化する星)が数多く眠っていると考えられています。

それらをすべて確認するには膨大な時間がかかり、人力ではとても不可能です。

そこで立ち上がったのが、アメリカの高校に通うマシュー・パズさんでした。

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マシュー・パズさん(左)/ Credit: Caltech – Exploring Space with AI(2025)

彼は小学生の頃、母親に連れられてカリフォルニア工科大学の一般向け天体観望講座に参加して以来、天文学に興味を抱くようになりました。

それからAIや数学にも才能を発揮し、地域の教育プログラムで、中学生ながら大学レベルの数学や計算機科学を修得したといいます。