丸太の表面には、彫り込みや切り傷、摩擦など、無数の加工跡が見られました。
そして最も注目すべきは、上側の丸太の中央部に意図的な窪み加工が施されていたことです。
この窪み部分を下側の丸太にピッタリと嵌め込むことで、安定した組み合わせが可能になっていました。

これは木材の半分を削り取って、ペアとなる木材に嵌め込む現代の接合方法にも通じます(下図)。
さらに年代測定の結果、丸太は約47万6000年前にまで遡り、木材構造物として最古の証拠となることが判明しました。
その時点ですでに木材の高度な接合技術が習得されていたことを意味します。

しかし最も気になる点は「誰がこの建築物を作ったのか」でしょう。
こんな高度な技術が使えるのはヒト以外ありえませんが、47万年前というと現生種のホモ・サピエンスも近縁のネアンデルタール人もまだ存在していません。
ホモ・サピエンスが登場するのは約20〜30万年前、ネアンデルタールは早くて40万年前です。
では、丸太を組み合わせたのは誰なのでしょうか?
建築物を作ったのは誰?
カランボの滝の遺跡では残念ながら、ヒトの遺骨は発見されていません。
しかし有力候補として最も可能性が高いのは、約40〜60万年前に存在した「ホモ・ハイデルベルゲンシス」です。
実際、ザンビアの別の遺跡では約30万年前のホモ・ハイデルベルゲンシスの頭蓋骨が出土しており、この地域に彼らが住んでいたことが分かっています。
さらに彼らはそれ以前にいたホモ・エレクトスに比べて脳容量が大きく、より人間的な行動を取ることができました。
加えて、ホモ・ハイデルベルゲンシスは大柄で、大人の男性では身長180センチ、体重100キロに達していたと見られています。