さらに調査を進めると、OR6A2遺伝子が変異している場合、パクチーに含まれる「アルデヒド」という匂い成分に敏感に反応して、それと特異的にくっつくことが分かりました。
そしてこのアルデヒドこそ、香り成分として石鹸にも含まれる化学物質なのです。

パクチー嫌いの人は、この石鹸のようなアルデヒドを強く感じてしまうことで、「パクチーは食べ物じゃない」と認識してしまうと考えられます。
逆にOR6A2遺伝子が変異していない人は、アルデヒドの匂いを強く感じないので、パクチーも難なく食べられるのでしょう。
それからパクチーの風味を「カメムシみたいな匂い」と表現する人がたくさんいますね。
「食材に対して失礼だ」と言われるかもしれませんが、実はこれ正しい感覚なのです。
というのもカメムシの放つ独特な匂い成分の中に、先と同じアルデヒド類が含まれているからです。
なのでパクチー嫌いの人は自信をもって「カメムシ味だ!」と言って問題ないでしょう。
さらに23andMeは、パクチー嫌いが発生しやすい人種も特定しています。
「パクチー嫌い」になりやすい人種は?
先の23andMeの調査では、パクチー嫌いになりやすい人種となりにくい人種が明らかになっています。
それによると、北欧と南欧を含むヨーロッパ系の人々で最もパクチー嫌いが多く、対象者の14〜21%が「パクチーが苦手だ」と報告していました。
次に、アフリカ系アメリカ人が9.2%、ラテン系が8.7%、東アジア系が8.4%でパクチー嫌いが発生しています。
一方で、南アジア系ではパクチー嫌いが3.9%しかいませんでした。
やはりエスニック料理にパクチーを愛用する南アジア系の人々は、パクチーを好みやすいようです。

これと別にパクチーの歴史を遡ってみると、興味深いことに、1500年代〜1600年代にはすでにパクチー嫌いの報告が記録されています。