あるフランスの高官は、クーパー氏に「プーチン大統領の(ウクライナ)侵略は嘆かわしいとはいえ、結局のところフランスの問題ではない」と語ったという。「我々には核の傘がある。プーチン氏は理論的にはフランスや英国を攻撃することも可能だが・・・その可能性は非常に低い。欧州南部はもっと安全だ。2022年にロシアが侵攻してくる前の日曜日、私は(スペイン)マドリードの湖畔で昼食をとる家族連れに混じって日向ぼっこをしていた」。

核兵器を持っていないドイツを含む欧州各国は、フランスの核の傘を共有することを検討している。しかし、「フランスがその傘をバルト三国にまで広げることはないだろう。フランスはリトアニアのためにロシアと核戦争をするリスクは冒さないだろう」、とクーパー氏は推測する。

プーチン大統領の強みとは

今後も欧州はウクライナへの資金援助を継続し、ロシアよりももっと大きな金額を投ずることもできるかもしれない。「しかし、プーチン大統領の強みはロシア国民の犠牲を厭わない姿勢にある。善良な社会は市民の命を大切にするが、戦争ではそれがハンディとなる」。

クーパー氏は東欧の大物政治家に「西欧諸国は東欧の戦争にはほとんど関心がない」と言った。政治家は「知っている」と答えたという。「だから、ロシアが攻めてくるのをじっと待つのではなく、『なぜ今ロシアを攻撃しないのか』と声を上げる国があるのです」。

編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2025年4月11日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。