佐藤氏は苫米地英人(米カーネギーメロン大の計算言語学博士)とユーチューブで対談しています。苫米地氏は「認知戦」の専門家で、英語でいう「Cognitive」(認知)Warfere(戦争)」は「自分の造語」だといっています。「Recognition」(認識)を短縮したのもかもしれません。在米の日本人、国際政治アナリスト・伊藤貫氏も同じ考えなのか、「トランプ氏は100年に一度の大革命家」といっています。

認知戦とは「陸海空、宇宙、サイバー空間と並ぶ6番目の戦闘領域で、心理戦、情報戦とも重複する」、「人間の心理や認識を操作して、意思決定は行動を変化させる」、「情報学、脳科学、認知心理学、社会工学、人工知能といった様々な技術を統合する」などと、解説されています。

メディア・コントロール(報道機関への影響力行使)もその一つなのでしょう。そういう目で日本の新聞の社説を読んでみますと、どの新聞も同じようなトランプ批判ばかりが目立ち、トランプ氏を認知戦という角度から切り込んだ指摘は見かけません。

朝日新聞社説は「国際経済を大混乱に陥れ、その半日後に脈絡もなく方針を転じる(相互関税の90日間の停止)。朝令暮改には、緻密な戦略があるとは考えられない。この無責任極まりない大国のふるまいを(われわれは)最大限に非難する」、「トランプ氏の翻意は、市場の反応が自分の想定を超えたからだろう」と、口を極めてトランプ氏をののしっています。

朝日新聞がここで考えるべき論点は、「そんな無謀な振る舞いをトランプ氏はなぜするのか」です。私には、トランプはそんなことは分かったうえで、無謀な振る舞いをしているように思えてはならないのです。朝日の「米政権を覆う政策決定過程の稚拙さを露呈した」という批判も、意図的に稚拙な振る舞いをしているようにしか思えない。国際社会も市場も大騒ぎ、大混乱に陥れるのがトランプ氏の狙いのようにもみえる。