すると全身で発光酵素(火打石役)を生産するように遺伝子操作したマウスたちの場合、発光基質(ロウソク役)の注射によって全身が光り輝き、完全な暗闇でも周囲がみえるようになりました。

また膵臓だけあるいは神経だけで発光酵素(火打石役)を生産させたマウスに発光基質(ロウソク役)を注射すると、それぞれの臓器から強力な光が内部から皮膚を通して漏れ出し、民生品のデジタルカメラでも検知することが可能になりました。
この結果は、マウスが生きた状態のまま、リアルタイムで臓器の様子を調べられることを示しています。

さらに2種類の発光酵素を両方生産するマウスの胎児に対して、一方にルシフェリンのみ、もう一方にAkaLumine-HCLのみを与えた場合、与えられた発光基質の違いにより、一方が黄色でもう一方が赤色と別の色に光らせることが可能になりました。
研究者たちは今後、さまざまな種類の「光る細胞」を作り出し、他の個体に移植することができれば、移植された細胞が体内でどのように動くかを、動物が生きた状態で観察できると述べています。
また異なる色で発光する2つの細胞を追跡することで、細胞同士の競合関係や協調関係を生体内部で追跡できるようになるでしょう。
既存の弱い光しか発しない仕組みでは、細胞の動きを追跡するには解剖を繰り返すしかなく、さらに生物学的に死んだ臓器が、実験結果に偏りを与える可能性も排除しきれませんでした。
研究者たちは開発された技術は他にも、がん細胞と免疫細胞の関係を理解するなど、今後の生物学実験に大いに役立つと述べています。