暗闇で光り輝くマウスが見られます。

日本の理化学研究所で2023年に行われた研究で、蛍の発光遺伝子をマウスに組み込み、生きているマウスを肉眼でも認識できるほど、強く輝かせることに成功しました。

また発光遺伝子を特定の臓器のみで活性化することで、特定の臓器のみ(神経や膵臓など)を輝かせることにも成功しました。

研究者たちはこの技術を使うことで、特定の細胞の動きを生きているマウスの体内で、リアルタイムに観察できるようになると述べています。

研究内容の詳細は2023年9月7日に『Lab Animal』にて公開されています。

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  • 蛍の光が生物学の未来を照らす

蛍の光が生物学の未来を照らす

蛍の遺伝子を組み込んで「暗闇で輝く」マウスを作ることに成功!
蛍の遺伝子を組み込んで「暗闇で輝く」マウスを作ることに成功! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

現在の生物学は、細胞の動きや形を調べるために、さまざまな方法で細胞を光らせています。

特にクラゲから発見された蛍光タンパク質(FP)は革命的な存在であり、世界中の生物学の研究室に常備されるまで普及しました。

(※2008年のノーベル賞は緑色の蛍光タンパク質(GFP)の発見にたずさわった、日本人を含む3名に送られました)

ただ既存の蛍光タンパク質を観察可能にするには特定波長の光(レーザー)を蛍光タンパク質に供給し続ける必要がありました。

また蛍光の強さも限定的であり、細胞がどのように光っているかを調べるには、解剖して臓器を摘出する必要がありました。

そこで近年になり「蛍の発光遺伝子」をマウスに組み込むことで、生物発光を大幅に強化する方法が提案されています。

蛍はルシフェリンという発光基質をルシフェラーゼという発光酵素の助けで光らせています。

やや強引な例でたとえるならば、発光基質のルシフェリンはロウソクで発光酵素のルシフェラーゼは火打石となるでしょう。

(※正確にはルシフェリンはルシフェラーゼの働きによって高エネルギーのオキシルシフェリンになり発光します。上のたとえでは、発光するのはあくまで酸素を取り込んだルシフェリンの代謝物という意味でロウソクに例えました)