これらの結果から、他の食器が食体験に影響を与えるのと同様に、箸も味覚や食事の満足度を変える効果を持っていると言えるでしょう。

調べてみると、普段よく手にするコンビニやスーパーでもらう箸の長さは約19-20 cmのものが多いようです。

これらの短い箸を使うのではなく、普段から23 cmの自分専用の箸を持ち歩くことで、食事の満足度を高めることができるかもしれません。

店で長い箸を出すと食事客は少ない量で満足する

店で長い箸を出すと客が時間をかけて料理を味わい、満足感が高くなる
店で長い箸を出すと客が時間をかけて料理を味わい、満足感が高くなる / Credit: Unsplash

今回の研究の限界は、参加者が箸を使って食べたのは80 gのご飯のみであり、実際の飲食の場面で同様の現象が生じるかはわからないという点でした。

そこでフンミン氏らは研究チームはこの疑問点に答えを出すため、台湾の15年以上続いている、人気の中国料理店で、8週間に渡る実験を行っています。

実験期間中のランチ・ディナーの提供時に、短い箸(19 cm)と長い箸(23 cm)を、食事客にランダムに提供しました。

そして提供前後の食事の重さを測定し、食事で用いる箸の長さによって、食事客の摂食行動が変化するかを検討しています。

実験の結果、長い箸を使った客は、食べるペースが遅くなり、少ない量の料理で満足感を得ていたことが分かりました。

これらの結果は、長い箸を使うことで少ない量の料理で満足することができ、食べ過ぎの防止につながる可能性を示唆しています。

研究チームは結果を受け以下のように述べています。

「食べすぎは肥満や他の健康問題を引き起こす。本結果は、長い箸を使うことで食事量をコントロールし、食べすぎを防ぐ具体的な方法を提案している。」

「たとえば、レストランの場合であれば、長い箸を提供することで、少ない量の料理で顧客を満足させることができるかもしれない。さらに体重を減らしたいと考えている人は、日々の食事で長い箸を使うことで、全体の摂取量を減らすことができるかもしれない。」