単に「瞳の色を変える」という美容的な狙いであっても、一歩間違えれば生涯にわたる視力障害に直結しかねません。
最先端技術として急速に人気が高まる角膜着色手術の実態とリスクを正しく理解し、今後の動向を見極めることは、今まさに多くの人々が求める情報だと言えるでしょう。
夢の瞳を手に入れる?注目急上昇の角膜着色手術

角膜着色手術の有効性や安全性を示すため、いくつかの研究や臨床調査が行われています。
中でも2018年に欧州の研究者グループが公表した調査は、合計204名の患者を4か月から12年超にわたって追跡したことで注目を集めました。
調査によると、29名(全体の約14%)に何らかの合併症が確認され、そのうち49%が光に対する過敏症(強いまぶしさ)を訴え、19%で色素の退色・変色が早期に見られました。
さらに4%で視野の一部に違和感を訴え、2%の患者がMRI検査時に金属成分の影響と思われる痛みを経験しています。
一方、同じグループの一部が参加した2021年の追跡調査では、対象者こそ40名と限られていますが、合併症の発生率がやや低下したと報告されています。
これは施術技術や色素の改良が進んだ結果とみられますが、完全にリスクがなくなったわけではありません。
実際、2020年代に入ってから角膜の形状が変化して視力障害を引き起こす「角膜拡張症(エクタジア)」を発症した症例が少なくとも5例報告されており、角膜に負荷をかけるこの手法独自のリスクが改めて指摘されています。
こうした結果を受け、積極的に施術を行う医師たちは「合併症はごく稀で、適切な検査と患者選定を行えば安全性は高い」と反論しています。
特に、ロサンゼルスで数百件の手術を行っている医師や年間400件近い施術を行うとされる医師は、独自の高品質な色素を使用し、優れた術式を採用することで合併症を抑えられると主張しています。