50年前の計画:技術的・経済的に「実現可能」だった海底基地

 この1968年の研究報告は実に詳細かつ具体的だ。「海洋底に30ヶ所の有人海底基地を建設することは、技術的にも経済的にも実現可能である」と彼らは結論付けている。ただし、本格的な建設計画を開始する前に、いくつかの実験施設を段階的に建設する必要があり、それには15年ほどかかると見積もられていた。陸地と繋がった海底基地の主要技術は当時すでに確立されており、あとは応用するだけだったという。

 報告書では、海底基地(in-bottom base、海底下に建設される施設)と海底施設(on-bottom facility、海底上に設置される施設)を区別し、収容人数や水深、コストなどを比較検討している。特に海底基地については、「1気圧の空間を海底下に低コストで造成でき、必要な空間が十分に大きければ進入システムのコストも償却できる」と経済的な利点も強調されていた。また、遠隔地の海底基地建設には、海底施設の支援が必要になるだろうとも述べられている。

 さらに、この研究では、デモンストレーションプログラム(実験段階)のコストも試算されており、「驚くほど控えめ」な額、すなわち15年間で約5億ドル(当時の価値)と見積もられていた。そして、実験段階完了後には、30ヶ所程度の基地建設プログラムが実施可能であり、そのコストは約27億ドル(当時の価値)とされていた。

 この50年以上前の研究を読むと、数々の疑問が湧いてくる。現在、世界の海には一体いくつの海底基地が存在するのだろうか? それらは誰によって運営されているのか? 政府なのか、それとも独立した「研究」機関なのだろうか?

エリア51を超える謎? 世界の海に潜む「秘密の海底基地」は存在するのか
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI),『TOCANA』より 引用)