そこで本稿では、現状と課題を明確にして、今後の再エネ賦課金のあり方について考察した。

現状

2025年4月時点で、再エネ賦課金は電気料金の一部として毎月請求されており、その単価は年々変動している。2024年度(2024年5月~2025年4月)の単価は3.49円/kWhで、2025年度(2025年5月~2026年4月)には3.98円/kWhに上昇することが決定しており、概算で月額約1,592円(年間約19,104円)、家計の負担となる。

賦課金の算定は、「再エネ買取費用」から「回避可能費用」(電力会社が再エネ電力を買い取ることで節約できる費用)を差し引き、販売電力量で割る方式で行われる。近年では、電力市場価格の変動が大きな影響を与えており、2023年度に一時1.40円/kWhまで下がったものの、市場価格の落ち着きとともに再び上昇傾向にある。また、賦課金は電力会社を通じて集められ、国の指定機関に納付され、再エネ発電事業者への支払いに充てられている。

再エネ賦課金価格推移:自然エネルギー財団 グラフ1

現状、再エネ賦課金は家計や企業にとって無視できない負担となっており、電気料金全体の約1割を占めるケースも出てきている。特に、電力多消費事業者には減免制度が設けられてはいるが、一般家庭には適用されず、負担感が増している。

今後の見通し

再エネ賦課金の今後の見通しについては、いくつかの予測と要因が絡み合う。

ピークと減少の予測: FIT制度に基づく高額な買取価格が設定された初期の案件(特に太陽光発電)は、20年間の買取期間が2030年代に順次終了。環境省の2013年の推計では、賦課金のピークは2030年頃で、その後は減少に転じるとされていた。しかし、実際の単価上昇ペースは予測を上回り、一般財団法人電力中央研究所の試算では、2030年に3.5~4.1円/kWh程度まで上昇する可能性が指摘されている。その後、2040年代にはFIT制度の終了に伴い賦課金がゼロに近づくとの見方もあるが、新たな再エネ支援策が導入されれば、負担が続く可能性もある。

買取価格推移(予測値を含む) グラフ2