金額が非常に大きいため、その拠出スキームや使途の正当性に関する今後の議論の行方は、多くの米国民が注視してゆくだろう。

FEMAも多額送金か

また、つい最近になってFEMA(連邦緊急事態管理庁)がニューヨーク市の移民支援に 5900万ドル(約88億5千万円)を送金したことも発覚した※44)。不法移民の宿代などに使われるとのことだが、マスク氏は「トランプ大統領の大統領令に著しく反抗している」と非難する。

ノースカロライナ州で2024年9月に大型ハリケーンHeleneが発生し、100人以上の犠牲者を出し、数千世帯の家屋を奪ったが、今なお住居がなくて困っている住民が大勢いて、FEMAの対応が遅くて不十分との批判が続いている。そのようなタイミングでNYへの巨額送金が発覚したことで、一部国民感情の火に油を注いでしまった格好だ。

国土安全保障省(DHS)はこの資金を含む8000万ドル(120億円)を急いで回収したが、回収は違法だとして、NY市はトランプ政権に対して訴訟を起した※45)。

おそらくトランプ政権としては、国民より違法移民が優先されてはならないとの考えに基づく行動だったと思うが、逆にNY市は議会軽視との批判を強めるであろう。NY州とトランプ政権の対立の行方については、今後も注視していきたい。

DOGE今後の行方

最近の世論調査※46)によると、約7割の国民が「政府の支出は無駄、不正、非効率に満ちている」と思っているが、「DOGEは無駄の削減に貢献している」と評価している人は6割に下がる。

また、「民主党はトランプ大統領がやっていること全てに反対すべきだと思いますか、それとも彼の行動に対してもっと様子見の態度を取るべきだと思いますか?」との問いには、民主党支持者の実に64%が「全てに反対すべき」と答えている。

不正や無駄があることにあるが、やり方が気に食わない。あるいはやっている人たちが気に食わないということなのだろうか。なんとも歪な調査結果であるが、行動や結果よりも、個人的な感情が優先されてしまうことを危惧する次第である。