今月に入ってから、まじめな政治経済のニュースはトランプの「相互関税」で持ち切りだ。相互もなにも、一方的に米国の側が関税を増額し、文句あんなら相互にしてみろやゴラァと言ってるだけだから、無茶苦茶である。

輸入品に課税しても、その分は販売時の価格に転嫁されるから、結局は米国内の消費者が負担する。そもそもインフレだから廉価な海外産に頼っていたところに、「関税値上げ」が加われば生活苦はより悪化し、遠からず経済界を中心に、トランプ支持の基盤が崩れると予想する向きは多い。

半分は、ぼくもそう思う。しかしもう半分の疑いが、拭いきれない。

実はトランプ自身、今回の政策で米国民の暮らしが苦しくなることを、公に認めている。4/6の報道にはこうある。

ドナルド・トランプ米大統領は5日、ほぼすべての貿易相手国に対する一律10%の追加関税を発動したのを受け、国民に忍耐を求める一方、歴史的な投資と繁栄をもたらすと約束した。

トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、……「これは経済革命であり、われわれは勝利する」とし、「耐え抜け。簡単ではないが、最終的な結果は歴史的なものになる」と付け加えた。

強調は引用者

「俺はお前らに苦しい思いをさせる」と明言した上で、これは革命なんだから使命感でついてこいと強要する。歴史家の眼で見た時、実はそうした強権統治のあり方は、そんなに珍しくない。

まだ歴史学者をしていた2013年の秋に、ぼくはこう書いたことがある。