図2は米国の国勢調査局が作成した移民流入状況※19)である。実線が従来の統計方法で算出された数値で、点線がより実態に近付けるために用いられた新たな統計方法によるものである。

図2 米国国勢調査局(USCB)が作成した移民数の推移(2010~2024年)
グラフによると、オバマ政権(2009年1月~2017年1月)から第1次トランプ政権(2017年1月~2021年1月)にかけては、コロナパンデミック期を除けば、ほぼ横ばいで推移していた。しかし、バイデン政権(2021年1月~2025年1月)になってから、急激に移民の流入が増えている。
過去に6回も強制送還された不法移民が、未成年の誘拐未遂犯として逮捕された事例※20)や、不法移民に未成年の女性がレイプされた上で殺害された事例※21)も複数ある。不法移民に殺害された子供たちの母親が議会で悲痛な訴えをする場面※22)もあった。
米国土安全保障省(DHS)は、2022年1月時点で米国に住む不法移民は1,100万人に上ると推定している。2018年から2020年(トランプ政権)にかけては28万人減少したが、逆に2020年から2022年(バイデン政権)にかけては63万人増加している※23)。
これらデータを見れば、国境警備が甘いという指摘に、なかなか反論することは難しい。警備を強化するトランプ政権の方針は、きっと多くの米国民が支持するところであろう。レビット大統領報道官による※24)と、国境における不法移民との遭遇件数は既に87%程度抑えられたとのことである。なお、トランプ政権は18日間で1万人以上の不法移民を逮捕し、強制送還にも力を入れている。
以前に「犯罪を起こした不法移民はいるのですか?」という記者の問いに対して、レビット大統領報道官が「不法移民そのものが犯罪です」と答えていた※25)が、この対照的な問題意識が、より大きな絵で見たときの犯罪「容認派」と「非容認派」の根底にあるのだと察した次第である。