その要望書から一部抜粋する:

この「LNG計画」は、経済、環境、国家安全保障に重大な影響を及ぼす可能性がある。国内的にも世界的にも重大な影響を及ぼしかねない。我々の優位性を危うくするのは無謀であり、 エネルギーが地政学的な武器として頻繁に使用されている世界においては、余計にそうである。

米国のLNG輸出は、欧州をはじめ世界各国にとって重要なライフラインとなっている。現在までに米国産LNG輸出の半分近くが欧州向けに供給されており、ロシアのウクライナ侵攻を受け、輸出量は大幅に増加した。2022年に欧州のLNG輸入が60%増加した際、米国のLNGはその需要を満たした。

米国のLNG輸出がなければ、欧州の指導者たちは自国民からエネルギーを奪うか、ロシアのウクライナ戦争に積極的に資金を提供するかの決断を迫られることになる。

そしてこの要望書では日本への供給についても触れている:

欧州に加え、米国のLNGはアジアのエネルギー安全保障にも大きな影響を及ぼしている。日本と韓国は米国産LNGの輸入先のトップ2である。台湾も米国産LNGを輸入しており、インドも急速に輸入を増やしている。米国産LNGの安定的かつ確実な供給は、アジア諸国のエネルギー安全保障にとって極めて重要である。

日本、韓国、インド、台湾・・・これはまさに「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の主要国ではないか。そこに対するエネルギー安全保障を蔑ろにすることは、決してあってはならず、日本国も断固とした姿勢を打ち出すべきだったのではなかろうか。

そもそも環境問題とは言うものの、要望書にも書かれているように「米国のLNG輸出を制限しても、世界の天然ガス需要には何の影響もない」はずだ。仮に日本政府が公に抗議することが難しかったとしても、これだけ重要な案件なのであるから、与野党議員が国会で積極的に問題提起することはできたのではないかと思ってしまう。詳細は後述するが、我が国に対するLNG輸出規制は、正当な理由なきものであり、同盟国としての信頼に対する挑戦であったと感じる次第である。