ここまで述べてきたような多くの課題を乗り越え、第1ラウンドから第4ラウンドまでの風車がすべて完成し、最大出力で運転したとしても、発電量は約460万kWにとどまります。
「460万kWなら原子力発電所4基分に相当する」と思う人もいるかもしれませんが、洋上風力発電の設備利用率はおよそ30%です。したがって、平均的な出力は 460万kW × 0.3 = 約138万kW にしかなりません。
さらに厄介なのは、出力が常に一定というわけではなく、実際には風の強さに応じて0〜80%の間で大きく変動します。つまり、出力はおおよそ0〜370万kWの間を風まかせで行ったり来たりすることになり、安定供給という観点からは大きな課題が残ります。
また、460万kWという数値は、横浜市の最大電力需要とほぼ同程度に相当します。この比較によって、洋上風力発電が日本全体の電力消費に対してどの程度の割合を占めるのか、ある程度イメージしていただけるのではないでしょうか(ただし、ここで言う「同程度」とはあくまで瞬間的な最大出力が一致するという意味であり、洋上風力発電で横浜市の電力をすべて賄えるというわけではありません)。
経済産業省が導入拡大のためには「なんでもやる」という姿勢を貫いた結果、制度やルールは次々と変更され、業界は大きな混乱に見舞われています。