心理研究の場合、例えばインセルを研究しようとするなら「自分はインセルだ」と自覚している人たちを集める必要がありますが、そういう人たちがあまり研究に参加したがらないというのも研究しづらい理由の1つです。
モテない人たちが、どのような心理的特性を持つか調べることは、精神医学の治療において重要な知見と言えます。
そのためコステロ氏は、「恋愛や性的な関係を持つことができないと感じることが、精神的な健康にどのような影響を与えるのか」を明らかにするためインセルについて調査することにしたのです。
自分はモテないと感じている男性が抱える問題

コステロ氏ら研究チームによる調査は、SNSやポッドキャストを駆使して募った、151人のインセルと149人の非インセルの独身男性を対象に行なわれました。
調査で参加者らは、「独身である理由」に関するチェックリスト、および「自分がどれだけ結婚相手として魅力的であると感じるかを評価する質問」に回答しました。
さらに、「交際相手に求める最低限の条件」についてのアンケートに回答しました。
このアンケートでは、長期的な交際相手に求める15の特徴(ユーモアや知性など)について、1点から10点の間で最低点を示すよう求められました。
そして調査の結果、インセルのグループは精神的に非常に問題を抱えていること、認知に歪みがあること、被害者意識が強いこと、自閉症スペクトラム障害(ASD)の発生率が高いこと、恋愛のスキルが低いこと、デートに対して不安を感じていることが明らかになりました。
また、独身である主な理由としては、恋愛のスキルが低い、外見が良くない、社交的でない、恥ずかしがり屋という4つの点が多く挙げられました。
インセルの人々は自分の恋愛の価値を低く見積もりがちで、特に自分が女性にとって魅力的でないと感じる時に女性を嫌悪する傾向があります。