数字が物語る「知性の退化」

 2023年に発表されたある研究では、米国におけるIQ(知能指数)の平均が初めて下落に転じたことが報告された。調査対象は2006年から2018年の間に行われた約39万人の知能テスト結果。特に論理的思考、語彙、計算力、視覚的推論などの項目で明らかな低下が見られ、過去には右肩上がりだった“フリン効果”の逆転が確認された。

 さらに、アメリカ成人の3人に1人が「最低レベルの数的理解力しか持っていない」とする統計もある。SNSやスマートフォン、AIチャットボットなどの普及により、若者を中心に集中力や批判的思考の低下が進んでいることも、複数の心理学的研究で裏付けられている。

 とある実験では、スマートフォンの電源を切っても、手元にあるだけで認知能力が低下するという驚くべき結果も出た。スマホを別の部屋に置いた方が、記憶力・判断力が大幅に向上したという。