インド洋に浮かぶ北センチネル島。そこは現代文明との接触を拒み、独自の文化を守り続ける世界で最も孤立した部族の一つ、センチネル族が暮らす場所だ。外部からの接触は彼らにとって致命的な病気をもたらす危険があり、インド政府によって厳しく立ち入りが禁止されている。しかし、そんな禁断の島へ足を踏み入れ、あろうことかコーラの缶を「贈り物」として残したアメリカ人観光客が逮捕されるという、驚くべき事件が発生した。
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簡易ボートで決行、コーラとココナッツの「供え物」
逮捕されたのは、ミハイロ・ヴィクトロヴィチ・ポリャコフと名乗る24歳のアメリカ人男性。報道によれば、彼は3月26日にアンダマン・ニコバル諸島の首都ポートブレアに到着。その3日後、なんと手製のいかだのような簡易ボートに乗り込み、約40km離れた北センチネル島へと向かったという。双眼鏡と笛を手に、彼は周到に計画を練っていたようだ。海の状況や潮の流れ、上陸可能な地点などを事前に調べていたと警察は見ている。
3月29日の午前10時頃、島の北東岸に到着したポリャコフは、簡易ボートの上から約1時間、笛を吹いて部族の注意を引こうと試みた。しかし、何の反応も得られなかったため、彼は大胆にも島への上陸を決行。わずか5分ほどの滞在中にビデオを撮影し、サンプルを収集。そしてセンチネル族への「贈り物」として、コーラの缶とココナッツを浜辺に残して立ち去った。彼のこの行動は、部族の存在そのものを脅かす極めて危険な行為であり、大きな波紋を広げている。