今回の相互関税も関税比率の決定が極めてずさんであったことを露呈しています。対アメリカ貿易黒字額÷当該国の貿易額÷2であります。そして全世界に10%のベース課税をします。この10%は貿易当事国が対米で赤字でも黒字でも関係ありません。人が住んでいようがどんな小島だろうが、自動的に加算され、さらに重要国(=放置できない国)に上乗せ関税を計算したものであり、日本の場合は24%と出たわけです。
さて、ここからが問題です。市場は崩壊するような下落を演じています。相互関税発表で「あく抜け」期待を裏切ったのはそのインパクトが大きすぎたからでしょう。市場の動きを見る限り目先反発期待はなさそうで、特に日本は弱り目に祟り目状態で「終わりの始まり」になるようにも見えます。アメリカの株式が高値から20%下落となれば弱気相場入りで通常は回復するのに年単位となります。日経平均も以前、チャート的に3万円程度までの下落はあると私は申し上げましたが、視野に入ってくるかもしれません。
日本の株価を下押すもう一つの理由は為替で、想定通り円高に向かってきています。円高というより、ドル指数が猛然と下げており、世界通貨に対して「ドルの一弱状態」になっています。この状態が長く続けばドルの信認問題にもつながってくるため、巷で言われる国際貿易秩序の問題どころかドル基軸を揺るがす公算すら出てきてしまいます。
多少知識がある方から見ればトランプ氏の政策はブレーキが壊れた蒸気機関車のような爆走状態であり、本人が現実を受け止めることができるのかという点が気になります。もしも氏の精神状態に問題がなければこれから各国と交渉をし、10%を下回らない範囲で関税率引き下げとなるでしょう。しかし、その作業は膨大で、事務工数的に時間を要すると思います。一方、ブチ切れたままならばお手上げでしばし続くことになります。
6月にカナダでサミットがあります。私はトランプ氏は来ない気がしています。自分でカナダは51番目の州だと繰り返し述べたことで「カナダに行けばおれば暗殺されるかもしれない。そんなところにのこのこ行くわけにはいかない」と。それは表向きの理由でトランプ氏はG7で6人の敵、そのうち4人は特に難癖をつけるであろうその相手に「俺は一対一の交渉しかしない」という中で逃げたいというのが本音だと思います。