さらにJoy-Conは2本1セットなので、最小限のスペースでマウス2本使用を前提とした新しいゲームへの可能性も提示している。

Joy-Conの使用例 任天堂HPより

マウスはPC周辺機器としての歴史が長いがゆえに、ここ数十年では大型化・高機能化の一途を辿り発想に限界があったが、それを再構築する設計には任天堂の哲学ともいえる「枯れた技術の水平思考」が息づいているのだろう。

ゲーミングPCの「モバイル性」を奪い去るSwitch2

では、これら2つが意味するものは何か。

それはSwitch2が、「ゲーミングPCのモバイル体験」をほぼ完全に置き換え得る存在となった、という点と思われる。

昨今のゲーム市場では、MSXの如く「あくまでPC」ではあるが、高性能CPUや専用グラフィックボードによって精細なゲームを楽しめる、ゲーミングPCがシェアを伸ばしている。

それらにもデスクトップ、ノート、ポータブルといった区分があるが、Switchは2へと進化したことで、デスクトップ(今の任天堂が見据えていないAAA級タイトル)を除いた2つの市場を一気に食い荒らしにきた、と感じられるのだ。

特に顕著なのがノートPCである。

デスクトップPCよりゲーミングノートPCを選ぶ理由は、「高性能ゲームをモバイル環境で楽しみたい」が決め手だろう。

しかしゲーミングノートPCは、高価格、大型かつ2kg前後の重量、大型の外付けマウス、ゲーム起動の煩雑さ、ゲームチャット連携の複雑さと、手軽に楽しみたいユーザーには高いであろう障壁を多く抱えていると感じる。

一方のSwitch 2は、(比較的)廉価、小型かつ軽量・薄型設計、シンプルな起動→プレイまでの導線、超小型マウス2本標準装備、ゲームチャット一体型UIを備えた。

つまりノートPCの特徴を、一体感・快適性に特化した設計に再構成したのだ。

これに加え性能面でも、モバイルでFHD/120Fps、据置なら4K/60fpsと一定水準を超えたことで、ポータブルPC用ゲームをSwitch2でさらに引き受ける態勢も整ってしまった。

イノベーションの視点からみるSwitch2