一時期は中国スーパーリーグのマネーゲームに押され気味だったJリーグだが、日本の住環境や日本人の信用度、ホスピタリティーの点を勘案し、日本を選ぶブラジル人選手も少なくないのだ。

オランダ、トルコの税金面の特徴
逆に、近年日本人選手が増えているオランダの所得税は36.5~52%の累進課税になっている。しかし外国からの労働者の受け入れを積極的に行っている関係で、サッカー選手についても一定期間、収入の30%部分を免税にする制度がある。いわゆる「30%ルーリング」という。
このルールの適用には、過去2年間において、オランダ国境から150km以内で16か月以上就労していないことなどが条件だ。よって国境を接しているドイツやベルギーのチームにいた選手に対しては適用されないこともある。しかしこの「30%ルーリング」も縮小傾向にあり、先行きは不透明だ。
また、かつて日本代表DF長友佑都(ガラタサライ/2018-2020)や元日本代表MF香川真司(ベシクタシュ/2019)がプレーしたトルコ1部リーグのスュペル・リグ(現在は元U-23日本代表MF松木玖生がギョズテペSKでプレー)。
トルコの所得税率は15~35%と他の欧州諸国と比較すると若干低めだが、VATは18%と他のヨーロッパ諸国とほぼ同じだ。そもそもトルコはEU加盟国ではなく、国土の97%がアジアにあり、人口7,000万人の大半がイスラム教徒だが、サッカーではUEFA(欧州サッカー連盟)に加盟している。
トルコでプレーするサッカー選手の税金面で特徴的なのは、手取り保証契約が多い点だ。選手は手取り額が保証され、税金はクラブが立て替え払いし、手取り額から報酬総額を逆算する「グロスアップ方式」が採用されているケースが多い。
このように、サッカー界と税金は複雑に絡み合っている。脱税で検挙される選手が多いケースは、法律の立て付けと運用面での解釈の違いによるものがほとんどだ。金銭面を専門家に任せていても、こうした落とし穴にハマるケースもある。