すべての参加者は標準体重で、食事内容もなるべく統一されています。

この中から選ばれた高い運動能力を持つアスリートたちの腸内細菌を、抗生物質で腸内細菌を除去したマウスに移植し、マウスの代謝の変化を観察しました。

その結果、エリートアスリート由来の腸内細菌を移植されたマウスでは、インスリン感受性が向上し、筋肉内のグリコーゲン蓄積量も増えていたのです。

これは一体何を意味するのか?

まず、インスリン感受性とは、体がインスリンというホルモンにどれだけ反応しやすいか、という指標です。

インスリンは、血液中のブドウ糖(グルコース)を細胞に取り込ませる働きを持っています。

つまり、インスリン感受性が高い=少量のインスリンでしっかり血糖値を下げられる体ということになります。

逆にインスリン感受性が低いと、インスリンが効きにくくなり、高血糖が慢性化し、糖尿病リスクが高まるのです。

またインスリン感受性が高ければ、余分な糖が脂肪に変換されにくくなり、肥満の予防にもつながります。

加えて、動脈硬化や高血圧など心血管疾患の予防にもなり、効率的にエネルギーを使える体になるため、日常の活力や運動パフォーマンスも向上します。

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Credit: canva

それからグリコーゲンは、ブドウ糖を一時的に貯蔵しておく“エネルギーの倉庫”のようなものです。

特に筋肉に多く蓄えられています。

筋肉内のグリコーゲン貯蔵量が多いと、運動時にすぐに使えるエネルギー源が豊富で、疲れにくくなります。

また運動後にグリコーゲンを素早く補充できる体は、筋肉の回復や再生もスムーズです。

そして筋肉は代謝が活発な器官なので、グリコーゲンが多く蓄えられる=筋肉が元気で代謝が高い状態を意味します。

このように、インスリン感受性の高さは血糖コントロールと代謝の効率の良さにつながり、筋肉グリコーゲンの豊富さは体力とエネルギー維持の土台になります。