中居問題をめぐるフジテレビの会見では、当初参加できる記者の枠が絞られ、テレビ局が動画撮影や中継をすることが許されなかった。このような「密室会見」は説明責任度が高い大企業としては禁じ手だろう。
英国にいる自分からすると、「なぜメディアは一致団結して、このような会見のやり方をボイコットし、あくまでもテレビ中継を要求しなかったのか」と、不思議だった。なぜなのだろう?
企業側あるいは政府が閉鎖的な空間での会見を行おうとするとき、「ボイコットする」「開催条件の変更を要求する」「閉鎖的な空間での話でも、十分な公益があると記者側が考えた場合は、内容を外に出す(この点が原則合意されている)」など、何らかの打開策がありそうだ。
これと同時に、例えば政府・公的機関であれば「国民にかかわりがある情報は会見場のほかにプレスリリースや動画などですべて出す」べきだ。特定のグループ(一部の記者など)だけに出すべきではない。説明責任度が高い大企業もそうあるべきだろう。
今の日本のメディア環境では、首相官邸での会見が「閉鎖的」で、「聞くべきことを聞いていない」という認識、あるいは現実があるがために、「出ること」が重要であり、そこで「聞くべきことを聞かなければいけない」という認識になるのかもしれない。
また、記者会見が特別視されるのは、ほかの場での情報公開度が低いことを示しているのではないか。
さらに、特定の報道機関あるいはジャーナリストが、問題視された人物・関係者にじっくりインタビューをする・・・という構成も考えてみてはどうだろうか。
英国では、全員というわけにはいかないものの、スキャンダルの渦中にいた人へのインタビューが時々実現する。例えば、2019年、BBCは性犯罪者ジェフリー・エプスタインと交友関係を持っていたアンドリュー王子を独占取材して放送した。
長時間の記者会見の不毛記者会見が長時間(といっても3〜4時間の想定だが)になるのは、航空機事故、原発事故など特定の大きな災害や事件・事故の場合に限られるべきではないだろうか。