この「見えないけれど力を持った空間」が磁場です。

今回のロボットは、まさにこの磁場の力を使って飛んでいるのです。

外からかけられた交流磁場と、ロボット内部に仕込まれた小さな永久磁石との相互作用によって、トルク(回転力)が発生します。

それによって、ロボットの回転翼がくるくると回り、空気を押し下げる力――つまり揚力が生まれ、機体が空中に持ち上がるのです。

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磁場で空を飛ぶ極小ロボット / Credit:Liwei Lin(UCB)et al., Science Advances(2025)

まるで見えない“磁場の手”がロボットを支えているかのようです。

さらに、このロボットには「バランスリング」と呼ばれる構造が加えられています。

これにより、回転によって生じるジャイロ効果、つまり回ることで姿勢を安定させる力が発生。揺れや傾きを自動で補正することができます。

コマを勢いよく回すとまっすぐ立ち続けるのと同じ原理ですね。

子和得て、この新しい小型ロボットには、自然界の知恵も収められています。

マルハナバチの知恵が込められた「世界最小の無線飛行ロボット」

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マルハナバチ / Credit:Canva

このロボットのもう一つの秘密は、自然界の神秘である「マルハナバチ」から着想を得ていることにあります。

マルハナバチはずんぐりした重たい体を持つため、航空力学者から「理論上飛べない」とされてきました。

しかし、「なぜか自由自在に飛べる」という不思議な存在でした。

研究が進むにつれて、マルハナバチがその小さな羽を毎秒100回以上も羽ばたかせて、空気中に渦(ボルテックス)を作り出し、効率よく揚力を得ていることが分かりました。

彼らはそのようにして、その場でホバリングしたり、垂直にも水平にも自由に飛ぶことができるのです。

研究チームはこのマルハナバチの動きをヒントに、回転翼が生む空気の渦を人工的に再現し、ロボットがより少ないエネルギーで飛べるようにしました。

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世界最小の無線飛行ロボットの誕生 / Credit:Adam Lau(UCB)_UC Berkeley engineers create world’s smallest wireless flying robot(2025)