まとめると、本研究により「Shhシグナルを遮断するだけで、鳥の羽毛を祖先的な段階に“近い形”へと巻き戻し、しかも(飛行羽を除き)また分岐を取り戻せる」という事実が改めて示唆されました。

まるで“タイムマシンで恐竜時代の毛を呼び出し、再度現代に戻す”ような実験が鶏胚の中で行われたことになります。

これは羽毛進化の謎に新たな光を当てるだけでなく、動物の形態形成における「可塑性と制約の両立」という普遍的なテーマを考え直すきっかけにもなりそうです。

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元論文

In vivo sonic hedgehog pathway antagonism temporarily results in ancestral proto-feather-like structures in the chicken
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3003061

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部