別の実験では鶏の足の鱗(うろこ)を羽毛化する報告もあり、「Shhシグナル操作が鳥の外見を大きく変えうる」という可能性が広がっていたのです。

そうした流れの中で、「ならば鶏の胚全体でShhを弱めたら、羽毛そのものはどうなるのか」という問いは、いまだ解かれていない大きな核心でした。

さらに、鳥の羽毛はヒトの髪や哺乳類の体毛などともルーツが一部重なるとされており、“分枝の仕組み”を知ることで、動物の外見形成全般を読み解く手がかりにもなるかもしれません。

そこで研究者たちは今回、鶏胚を使ってShhシグナルを一時的に抑え、羽毛がどこまでシンプルな形に寄り戻されるのか、そしてその後回復するのかどうかを詳しく探りました。

鶏が恐竜時代の羽毛を再現する

現代ニワトリに蘇る「恐竜の羽」――最先端実験が暴く進化の逆再生
現代ニワトリに蘇る「恐竜の羽」――最先端実験が暴く進化の逆再生 / この図は、鶏の翼に羽毛原基(プレースコド)がどのように出現し、広がっていくかを時系列で示しています。 最初、羽毛の小さな「点」が翼の後縁に現れ、これが羽毛発生の始まりを告げています。 その後、これらの点が急速に広がり、翼全体に連続的なライン状のパターンを形成していく様子が描かれています。 さらに、時間が経つにつれて、これらの領域では縦方向の細いバーが現れ始め、これは羽毛の枝分かれを予感させる兆候です。 また、SHHタンパク質の発現が光学的に捉えられており、このシグナルが羽毛の形態形成に重要な役割を果たしていることが視覚的に確認できます。 つまりこの図は翼における羽毛の原基の出現から、分枝・毛包の形成に至るまでの、一連の動的な成長過程を直感的に理解できる図となっています。/Credit:In vivo sonic hedgehog pathway antagonism temporarily results in ancestral proto-feather-like structures in the chicken