草と木の違いを尋ねられたとき、答えることはできますか?
見た目で何となく分類できるものの、明確な定義となると難しいものです。
実は植物学の世界でもいまいち定まっておらず、「成長と共に年々太くなり続けるのが木」「1年で枯れてしまうのが草」など様々な定義が聞かれます。
そのどれも竹などの分類ができず、明確な線引きが難しいのが現状です。
しかし、北海道大学工学大学院の研究グループはこの分類を力学的な視点で見ることで、明確な分類法を発見しました。
この研究はProceedings of the National Academy of Sciencesに2023年10月6日付けで掲載されています。
目次
- 植物学における草木の分類
- 力学的な視点から見た草木の構造
- 草と木を力学的に分類する
植物学における草木の分類

実は植物学において、草木はあまり明確に区別されていません。
たとえば、桜は木で、イチゴは草ですが、両者は同じバラ科です。
とはいえ、おおまかな草木の分類法はいくつかあります。
まず構造的に見ていくと、木と草の違いは「形成層の有無」です。
形成層とは、樹皮の内側で円を描くように成長していく組織のことで、いわゆる「年輪」です。
一般的に草と呼ばれる植物は形成層がなく、ある程度成長すると茎はそれ以上太くなりません。
そのため年輪を積み重ねて幹が太くなっていくものが「木」でそうでないものは「草」というわけです。
またそれぞれの寿命で分類するという考えもあります。
草は花が咲くと枯れ、その寿命は多くが1年ですが、木は花を咲かせても枯れず数年数十年と成長を続けることができます。
その他にも「木は茶色で草は緑」であったり、「背が高いのが木で背が低いのが草」「太く硬いのが木で細くてもろいのが草」などさまざまな分類があります。
植物学におけるおおまかな草木の分類を述べるなら、「年々太く高く成長していき長く生きるのが木、ある程度の太さ・高さで成長が止まり、1年程度で枯れるのが草」ということになるでしょう。