「物価上昇分を取り戻せ」という春闘で賃金が上がれば、勤労者らが払う所得税も増えます。物価が上がれば、企業の名目売上高が増え、法人税も増収となります。国債発行残高が1000兆円を超し、財政再建に取り組む政府にとって、物価高は大歓迎でしょう。
インフレ税という言葉がよく聞かれるようになりました。税率が変わらなくても、物価が上がれば、税収も上がる。インフレ税です。野党はなぜもっと問題視しないか不思議です。「財務省解体デモ」もインフレ税反対を叫んでいるのでしょうか。
消費者物価が3年以上も2、3%上昇し、生鮮食品を含めた総合指数では4%程度を記録しています。加算していけば、物価は10%は上昇しています。それでも加藤財政相が「まだデフレを克服していない」というのは、心の中では、税収が増えるインフレを歓迎しているからでしょう。
一方、石破首相は「強力な物価対策を打ち出す」といっています。石破首相は「物価対策が必要なインフレになっている」を考えている。閣内不一致です。さらに植田日銀総裁は「ぎりぎりまで物価動向を見極める」として、政策金利(0.5%)の引き上げを見送りました。そう言っているうちに、利上げのタイミングを逃してきたし、植田総裁も「財政問題を考えると、インフレ税もやむをえない」派でしょうか。
トランプ米大統領は、4月に関税を25%引き上げると宣言しました。輸出の主役である日本車メーカーの顔色は青ざめ、「トランプ関税」がその通り実施されれば、日本のGDP(国内総生産)は0・7%下がるとの試算もあります。関税引き上げはインフレ要因にもなります。今のうちなら「バイデンの後始末だ」との言い逃れができ、来年の中間選挙、4年後の大統領選挙に向けて、景気をよくしていこうとしている。そんな見方も嘘ではないでしょう。
米国という超大国に振り回されており、関税引き上げで物価は上がり、経済成長率は逆に下がる。つまりスタグフレーション(インフレと不況の同時進行)に進むかもしれない。