また、主に報道機関が「一方的にすぎた」という橋下氏の反省もおっしゃる通りと考えます。
ただし、橋下氏の視点として、そもそも多くの兵庫県民の怒りを巻き起こした背景について、主要メディアが、斎藤氏の功績やそれに伴う県職員の「斎藤おろし」のモチベーションがあった可能性について、まったく報じなかったという部分が抜けていると考えます。
例えば、天下り先の厳格な運用に関し斎藤知事が進めた改革が、どの程度の効果があり、結果役所職員としてはどのような反発が想定されうるか、という報道を、私は見たことがありません。
第三者機関について
橋下氏の提言について、「権力者に対する通報は、どこに通報されたものであれ、公益通報かどうか判断する第三者機関を設けよ」という件については、私は現実的ではないように思います。
私の認識が間違っている可能性もありますが、橋下氏の提言は、以下のような第三者機関を想定されていると読みました。
このような仕組みを、日本社会に敷衍して構築することが、はたしてできるでしょうか。例えば、一般の企業ではどうでしょう。どこに送られた怪文書であったとしても、その内容が公益通報かどうか判断するには、独立した第三者機関の判断が必要ということは、そのような機関を常設する必要がありますが、企業がそのような機関を設置する余裕はないものと考えます。
この仕組みのもう一つの問題点は、公益通報窓口とは別に「公益通報か否か」を判断する第三者機関を作った場合、通報者は公益通報窓口ではなく、とりあえず報道や、無差別ビラや、権力者の配偶者など、「最も効果がありそうな先」に怪文書を送ることを選ぶことになりかねない、という点です。
この議論でも、結論は「通報者にとって匿名性が担保される、しっかりした公益通報窓口の構築が必要」という議論の提起であり、「公益通報窓口を第三者機関にすべき」というところに落ち着くのではないでしょうか。